8月5日に開催された「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会」で厚労省は議論の中間とりまとめ(案)を提示した。
今回の中間とりまとめでは一部保険外療養の対象医薬品の基本的な考え方と同一の成分であっても、承認されている効能・効果の範囲が異なる場合の整理を行い、各成分ごとに効能・効果と別途負担の対象・対象外を一覧表としてまとめている。なお、別途負担の対象となる医療用医薬品の77成分、1042品目の一覧(案)も示されている。
また、対象の医薬品であっても別途の負担を求めない範囲について、こども、低所得者、入院患者、がん患者や難病患者など配慮が必要な慢性疾患を抱えている方、医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と考える方等としたうえで、この検討会ではこども、低所得者以外についてそれぞれ検討を行った結果をまとめている。
中間とりまとめ(案)
別途の負担の対象となる各成分ごとの効能・効果の一覧(案)
別途の負担の対象となる医療用医薬品の品目の一覧(案)
中間とりまとめ(案)の概要は以下の通り。
1、対象医薬品の基本的な考え方
一部保険外療養の対象医薬品は医療用医薬品とOTC医薬品は成分、投与経路が同一で、一日最大用量が異ならず、代替性が特に高い医薬品であることから原則として別途負担の対象となることを基本とする。
一方で、同一の成分であってもOTC医薬品においては認められていない効能・効果を目的として医療用医薬品を使用する場合は、別途負担を求めない。
対象医薬品(77 成分)の選定については、剤形が一致するOTC医薬品が存在しない場合や成分の含有量又は濃度が一致しない場合であっても代替性は否定されない。ただし、成分が完全に一致しない配合剤や、医療用医薬品の一日最大用量が大きい場合には、代替性がないものとする。
2、効能・効果の考え方
医療用医薬品とOTC医薬品の効能・効果の対応関係については疾患名が直接対応している場合や症状等として対応している場合は効能・効果が対応するもの、使用される目的が明らかに異なる場合は効能・効果が対応しないものと区分した。
また、効能・効果が一致しているかどうかについては下記の観点から総合的に判断することとした。
・OTC医薬品の添付文書に記載された症状等又はその処方目的が、医療用医薬品が用いられる処方目的と対応していること
・ 疾患・病態ごとに細かく区分し医療現場における運用が複雑とならないようにすること
・ 判断基準が複雑になることで医師ごとの判断がばらつくことがあると、同じ疾患において患者負担の有無が異なり、患者にとって制度上の取扱いが分かりにくく、納得感を得にくいものとなること
・ 同一又は類似の薬効群に属する他成分との整理との均衡も踏まえ、制度上の取扱いに大きな不均衡が生じないようにすること
・ 医療用医薬品とOTC医薬品とで使用される治療目的が明らかに異なる場合には、効能・効果が一致しない場合として整理すること
以上の観点で効能・効果と別途負担の有無を一覧表で整理している。
抗アレルギー薬10成分のうちケトチフェンフマル酸塩(ザジテン等)とエピナスチン塩酸塩(アレジオン錠・点眼液等)は別途負担の対象外の病名が多いが、アレルギー性結膜炎とアレルギー性鼻炎は別途負担の対象となっています。
抗ウイルス薬2成分のうちビダラビン(アラセナ-A等)は帯状疱疹の場合に限り別途負担対象外となっています。
歯科では、ステロイドでは歯周組織炎、感染性口内炎、舌炎に使用するオキシテトラサイクリン塩酸塩・ヒドロコルチゾン(テラ・コートリル軟膏)は別途負担の対象外です。
殺菌消毒剤等ではオキシドール(口腔粘膜の消毒、齲窩及び根管の清掃・消毒、歯の清浄、口内炎の洗口)は別途負担の対象外ですが、希ヨードチンキ(歯肉及び口腔粘膜の消毒、根管の消毒)及びポビドンヨード(口内炎、抜歯創を含む口腔創傷の感染予防、口腔内の消毒)は別途負担の対象となっています。
3、別途負担を求めない者と療養の範囲
一部保険外療養の実施に当たっては、対象医薬品であってもこども、がん患者や難病患者など配慮が必要な慢性疾患を抱えている方、低所得者、入院患者、医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と考える方等に対しては、別途の負担を求めない配慮を行う。
検討会では、このうち、がん患者や難病患者など配慮が必要な慢性疾患を抱えている方、入院患者、医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と考える方等について、別途負担を求めない者と療養の範囲について検討を行っている。
(1)がん患者
「がんの治療中に、がんやその治療に関連して生じた状態」に対する対象医薬品の使用については、別途負担の対象外とするが、がんと直接関係しない一般的症状については別途負担の対象とする。なお、がん治療中の考え方について例示されている。
(2)指定難病患者
指定難病及び当該指定難病に付随して発生する傷病に対する対象医薬品の使用については、別途負担を求めない。
(3)国の公費負担医療の対象者
当該公費負担医療を受ける際に対象医薬品を使用する場合は、別途負担を求めない
(4)入院患者
医療提供の場面や治療環境が外来患者とは大きく異なるため、入院中(退院時を含む。)に対象医薬品が処方された場合は、別途負担を求めない。
(5)処置等の一環で行われる処方
別途負担を求めない期間を14 日分までとする。なお、処置等とは医科診療報酬点数表の 第3部「検査」のうち、生検、穿刺その他の侵襲を伴う検査、 第9部「処置」、 第 10 部「手術」をその範囲とする。
(6)医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と考える患者
別途負担の対象外となるが、以下の考え方が示されている。
①内服薬(屯服薬を除く。)
年間処方日数が概ね 50 週であることを目安とし、診療情報提供書、薬剤情報、お薬手帳、オンライン資格確認による薬剤情報等により、過去の診療経過又は処方歴を確認する。
ただし、初診から6か月間にわたり、症状の持続又は反復と対象医薬品の継続的又は反復的な使用が確認され、当該医薬品の通年で使用すること(直近の実績を含め少なくとも 50 週の継続)が医療上必要であると医師が認めている場合には、年間処方日数がおおむね 50 週を満たしていない時点でも、本要件に該当する。
②外用薬
外用薬における長期使用等の該当性については、医薬品がどれだけ処方されたかではなく、医師が慢性又は再発性の疾患に対して、当該医薬品を毎日継続して使用することを指示し、通年で定期的に使用しているかどうかに着目して総合的に判断する。
なお、医薬品の類型ごとに、以下のような目安が示された。
ア 抗真菌外用薬、消毒薬、ステロイド外用薬は別途負担の対象。
イ 点眼薬は季節性のアレルギー性結膜炎等は別途負担の対象とするが、通年性のアレルギー性結膜炎等の年間を通じた継続使用が必要となる場合は対象外とする。
ウ 鎮痛消炎剤は、令和 10 年度末までの経過措置として疼痛等の自覚症状が持続しこれまで通年で使用しているだけでなく、画像検査などで慢性かつ重度の疾患(例:変形性膝関節症における Kellgren-Lawrence(KL)分類の Grade4)であることが客観的に確認され、医師が年間を通じた疼痛管理として継続使用が医療上必要と判断し、毎日使用することを指示して処方する場合に限り、別途負担の対象外とする。
エ 皮膚保湿剤・皮膚保護剤・角化症治療剤は1年を通じて継続的に外用することについて、診療ガイドラインにおいて有効性や必要性が明確に示されているのは、アトピー性皮膚炎のヘパリン類似物質と尿素に限られる。
アトピー性皮膚炎以外の皮膚疾患に対する皮膚保湿剤・皮膚保護剤・角化症治療剤については、これまで通年で使用しているだけでなく、症状または疾患活動性が十分に改善せず、外用薬だけでなく、免疫抑制剤等による全身療法を併用した治療歴(例:直近1年以内)がある場合は、令和 10 年度末までの経過措置として、当該患者に対して毎日使用することを指示して処方する場合に限り、別途負担の対象外とする。
4、OTC医薬品を服用しないこととされている場合であって医療機関での処方が可能な医薬品について
以下の3区分の対応が示された。
1、自己判断による服用を避け、医師による個別の判断を求めるものは別途負担の対象とする。
2、OTC医薬品の効能・効果又は使用対象を限定するものは「効能・効果の違い」又は「別途の負担を求めない者と療養の範囲」に該当するかで別途負担の有無を判断する。
3、原則として使用を避けることを前提としているものは、医師が母体への治療上の有益性と胎児・乳児へのリスクを比較衡量した上で、例外的に必要な場合にのみ使用するものであり別途負担の対象外とする。
