定期総会で決議と緊急要望を可決

長野県保険医協会は3月21日松本市内のホテルで第32回定期総会を開き、活動方針や予算など事前配布の議案書の5議案を原案通り可決、また「皆保険制度堅持、一層充実」の立場から▽患者負担軽減▽良質安全な医療・介護のため診療報酬・介護報酬の引き上げ▽医療や生活必需品の消費税をゼロ税率にする等の5項を求めた決議並びに東日本大震災関係の緊急要望可決。決議と緊急要望は23日、国、県選出国会議員、報道機関などに送付された。 20110321soukai.jpg
長野県保険医協会第32回定期総会で可決の決議と緊急要望

 決  議

  一昨年の総選挙で国民が民主党に期待した「国民の生活が第一」、「医療を再生し将来にわたり安心できる社会の実現」の公約が大きく揺らいでいる。それどころか社会保障を市場にして経済成長を得ようとする構造改革路線への回帰すら感じられ、国民の間には政治と社会への失望感が広がっている。
 こうした中で政府は消費税増税を念頭に、税と社会保障の一体改革の議論を本格的に始め、今年6月にも改革案をまとめようとしている。また、医療、介護に関わる多くの重要法案が相次いで審議されようとしている。
 介護保険法改正案では利用者の負担増は見送られたものの、軽度者への給付制限が盛り込まれる予定だ。新たな高齢者医療制度は後期高齢者医療制度の枠組みを残しつつ、将来的には国保を都道府県単位へと再編する方向へと舵を切った。総合特区法案で医療・介護の規制緩和により混合診療の範囲拡大をすすめ、地域主権改革関連法案ではこれまで医療法で定めていた事項を地方自治体の条例に委任するなど日本の医療のあり方を大きく変質しかねない政策が急速に進められようとしている。
 今年は、1961年に国民皆保険制度が発足して50周年を迎える。国民皆保険制度は必要とされる医療を、いつでもどこでも、わずかな負担で誰もが平等に受けられる制度であり、世界的にも高い評価を受けてきた。しかし、今日度重なる医療費抑制政策の下で医療現場は疲弊し、高すぎる保険料や窓口負担の下で患者も安心して受診できる状況とはいえない。特に、国保は危機的な状態となり高騰する保険料による滞納者の増加、無保険者の存在など深刻な問題に直面し、国民皆保険制度の根幹が揺らいでいる。
 私たちは国民皆保険制度を堅持し、一層の充実をはかる決意のもとに下記の事項の実現を強く求めるものである。
 記
一、患者の窓口負担を軽減すること
一、良質で安全な医療・介護を保障するために診療報酬・介護報酬を引き上げること
一、 社会保障財源の確保は消費税増税ではなく歪んだ税制の抜本的改革により行うこと
一、医療や生活必需品の消費税をゼロ税率とすること
一、保険医と保険医療機関に対する行政指導及び監査は、公正かつ透明な手続きに基づくよう抜本的に見直すこと。
一、 電子レセプト請求において機械的審査やデータの目的外利用を行わないこと
 以上 決議する
2011年3月21日
長野県保険医協会

緊急要望

  東日本大震災は未曾有の規模の被害をもたらし、犠牲者は8000人、行方不明者も1万2000人を越え、35万人が避難生活を強いられている。今、私たち国民全員は心をひとつにして、被災地への支援と復興に総力を挙げ、この危機を乗り越えなければならない。
 かつて経験したことのない事態に際し、国・行政・医療機関などがより緊密な連携をはかる必要があるが、長野県保険医協会は被災者の健康と命を守るために全力を上げて支援活動を行う決意をここに表明する。
被災地ではいまだに水道、電気、ガスなどのライフラインが復旧していない地域もあり、食料、燃料などの生活物資、医薬品等の不足は深刻となっている。加えて交通事情やガソリン不足により救援物資の輸送体制が混乱し、外部からの支援の手も十分に届かない状況である。また、原発災害の危険性は日々高まり、住民の不安は極限に達している。
 このため、国、行政には以下の点について迅速な措置を求めるものである。
一、 医療物資等を確保し、被災地の医療機関への支援を強化すること。
一、 被災地へ支援を行うための体制を整備・強化すること。
一、 原発事故に対する情報公開と対策を適切に講じること。
2011年3月21日
長野県保険医協会

医療運動