「子ども・障がい者等の医療費窓口無料化を求める」請願への意見陳述
長野県保険医協会も加盟する福祉医療給付制度の改善をすすめる会(以下、すすめる会)は3月11日、長野県議会県民文化・健康福祉委員会にて意見陳述を行った。
請願事項は、「①子ども・障がい者等の福祉医療給付制度は、現行の自動給付方式をやめ、窓口無料にして下さい。②制度のあり方を検討する場をつくり、子どもの親や障がい者などの当事者を参加させて下さい」の2点。
その上で、子どもや障がい者等の医療費の窓口無料化は当事者や家族にとって切実であること。特に、昨今の子どもの貧困率やひとり親家庭での貧困率の数値を例に挙げ、「子どもの貧困は貧困の連鎖を生み始め、社会に様々な問題を投げかけている」とした。
子ども医療費が償還払いであった石川県では、2015年度「乳幼児医療費助成制度」「ひとり親家庭等の医療費助成制度」について、現物給付方式導入を決定し、2015年度当初予算で関係費用を計上していることを挙げ、窓口無料化をめぐる問題が大きく動き始めていると主張。長野県は「窓口無料化後進県」であると訴えた。
現物給付制度を阻む大きな壁として、国からの不当な補助金削減や一定の財政負担を伴うが、「社会の宝である子どもの健やかな成長を促したり、障がい者福祉向上を図る上で、窓口無料化は優先されるべき政策課題ではないか」と重要性を訴えた。
委員の一般質疑では、小松稔委員が「窓口無料化について市町村はどう考えているのか」と質問し、清水健康福祉政策課長は「医療費の窓口無料化については、市町村も問題意識を持っているが、やはりペナルティーがあるため、積極的な姿勢は伺えない」と答えた。
藤岡義英委員は請願の第2項について「制度のあり方の検討の場に(給付を受ける)当事者を入れることは可能では」と質問、清水課長からは「当事者はヒアリ ングの形式で聞いており、団体からの要望も受けてきている」回答があった。藤岡委員は「窓口無料は大きなテーマ」として「議論の場に参加させてほしい」と 重ねて要望した。
清水純子委員はペナルティー問題や自動給付制度を補う医療貸付の状況の質問の後「ペナルティー見直しが最優先」とし、この問題を「母親たちに も理解してもらうことが大事」とした上で「医療費貸付制度の周知」と「最短期間での還付の努力」を要望していた。
この請願の審査では意見が分かれたため挙手により採決をすることとなったが、審査未了が賛成多数となり、その結果「子ども・障がい者等の医療費窓口無料化を求める」請願は審査未了の扱いとなった。