中央社会保険医療協議会 総会(第301回)
7月22日に中央社会保険医療協議会 総会(第301回)が開催され、歯科診療報酬及び調剤報酬の協議が始まった。
歯科診療報酬関係では歯科医療(その1)として、歯科医療を取り巻く現状等についてふれた上で、地域完結型医療(地域包括ケア)における歯科の対応として、(1)周術期口腔機能管理等の医科歯科連携の推進、(2)主治の歯科医師機能の評価、(3)全身的な疾患を有する患者等への対応の3点。口腔疾患、口腔機能低下への対応として、 (1)口腔機能に着目した評価、(2)う蝕や歯周疾患の重症化予防の推進の2点を挙げ、それぞれ課題と論点を下記のように整理した。
地域包括ケアへの対応の課題と論点
課題
- 周術期口腔機能管理に係る項目を算定している歯科医療機関数は経年的に増加しているが、その内訳を施設別にみると、病院併設歯科が大部分を占めており、歯科診療所ではほとんど算定されておらず、算定のない県もある状況であった。また、周術期口腔機能管理を実施した病院のうち、患者の「かかりつけ歯科診療所」と連携しているのは半数程度にとどまっている。
- 各種調査において、「かかりつけ歯科医」がいると回答した者は約7割であったが、「かかりつけ歯科医」を選んだ理由としては、近所や通勤・通学に便利な場所にある」が最も多い
- 歯科診療で特別な対応が必要な患者、全身的な疾患を有する患者への対応を評価する診療報酬上の項目はあるが、算定件数が非常に少ない。また、歯科医療の環境整備を評価した「歯科外来診療環境体制加算」の施設基準の届出を行っている歯科診療所は、全歯科診療所の約12%にとどまっている。
- チーム医療の推進や、歯科医療の機能分化の観点から、周術期口腔機能管理における医療機関間(病院歯科と歯科診療所等)の連携についてどう考えるか。
- 地域包括ケアにおいて、適切な歯科医療を提供していくため、主治の歯科医師の機能・役割についてどう考えるか。
- 患者にとってより安全で安心できる歯科医療を提供していくため、歯科診療で特別な対応が必要な患者、全身的な疾患を有する患者等の対応に関する評価及び歯科外来環境の整備についてどう考えるか。
- 各種要因(歯科疾患、全身疾患等)による乳幼児期・学童期の口腔機能の成長発育の遅れや、高齢期の口腔機能の低下に対しては、従来からの形態回復を主とした歯科治療のみではなく、機能の維持・向上(回復)に着目した歯科医療の介入が重要である。例えば、高齢者を対象にした調査において、口腔機能の一つである「かんで食べること」について、主観的な咀嚼機能評価である「かんで食べる状況」と低栄養傾向に関連が認められている。しかしながら、診療報酬において、咀嚼機能を含む口腔機能の検査方法、管理のあり方等の診療報酬上の評価に関しては十分でない。
- 歯周病の重症化予防の観点では、一連の歯周基本治療終了後に状態を維持し、治癒させることを目的とした歯周病安定期治療の評価を診療報酬に導入しているが、現在は中等度以上の歯周病患者を対象としている。
- う蝕の重症化予防の観点では、不可逆的な変化と捉えられてきたう蝕の進行が、近年、実質欠損のない初期のう蝕においては、適切な診断と管理のもとで健全な状態に回復する可能性があるという考え方がでてきている。
- 口腔機能の評価、および口腔機能の獲得・成長発育、維持・向上(回復)の観点に着目した歯科治療について、どのような対応が考えられるか。
- 口腔疾患に対する重症化予防の観点から、歯周病、う蝕等に対する歯科治療について、どのような対応が考えられるか。