中央社会保険医療協議会 総会(第352回)
5月31日に中央社会保険医療協議会 総会(第352回)が開催され、下記に厚生労働省の資料が掲載されている。歯科の診療報酬についての議論が始まった。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000166002.html
議題は下記の2点
○診療報酬改定結果検証部会からの報告について
○歯科医療(その1)について
改定検証部会の報告では、
平成28 年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(平成28年度調査)
(1)夜間の看護要員配置における要件等の見直しの影響及び医療従事者の負担軽減にも資するチーム医療の実施状況調査
(2)かかりつけ医・かかりつけ歯科医に関する評価等の影響及び紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入の実施状況
(3)重症度や居住形態に応じた評価の影響調査等を含む在宅医療・訪問看護の実施状況(4)精神疾患患者の地域移行・地域生活支援の推進や適切な向精神薬の使用の推進等を含む精神医療の実施状況
の調査結果の報告書(案)が出された。
歯科医療については、
1.歯科医療を取り巻く現状等について
2.地域包括ケアシステムの構築の推進
3.口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応
について協議。
歯科医療を取り巻く現状を、
(1)歯科診療所の推計患者数は増加傾向であり、特に75歳以上の患者の増加が著しい。
(2)小児の1人平均う蝕歯数は減少傾向にある一方で、高齢者の現在歯数は増加傾向にある。
(3) 歯科傷病分類別の推計患者数は、全体的には、平成8年に最も多かったう蝕症は減少傾向にあり、平成26年では慢性歯周炎が最も多くなっている。高齢者ではう蝕症、慢性歯周炎及び歯の補てつの増加が著
しい。
(4)歯科診療所の外来受療率は、65~74歳をピークに低下している。
(5) 歯科診療医療費は0~14歳と65歳以上で増加しており、全体としては微増傾向にある。
(6) 診療報酬点数について、1日あたりの点数は増加しているが、レセプト1件あたりの点数は減少している。
(7)レセプト1件あたりの平均点数は減少しており、各年齢層とも(特に高齢者)「歯冠修復及び欠損補綴」の減少が大きい。一方、後期高齢者の「在宅医療」は増加しており、特に85歳以上では顕著である。
と分析している。
また、地域包括ケアシステムの推進については、
(1)平成28年度新設の「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所においては、それ以外の歯科診療所よりも地域の在宅医療・介護を担う施設等と連携を行っている割合が高かった。
(2)周術期口腔機能管理について、病院併設の歯科を中心に算定されており実施しているのは全体でみると約3割であるが、300床以上の病院では約半数で実施されている。
(3) 平成28年度新設の歯科医師連携加算(栄養サポートチーム加算の加算)については、栄養サポートチーム加算を算定している病院の約3割で算定されていた。
(4)歯科診療外来環境体制加算の施設基準の届出は年々増加し、平成27年で全体の約16%である。とまとめた。
口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応については、
(1)発達期の子どもの口腔機能に関して、成長とともに解決するものだけではなく、歯科医療関係者による適切な評価・対応が必要な場合がある。
(2)70歳以上の高齢者の口腔機能について、約4割が何らかの問題を感じている。
と課題を分析している。
今後の論点としては、(1)地域包括ケアシステムの構築を推進するうえで、かかりつけ歯科医機能やチーム医療の推進等の観点から医科歯科連携等についてどのように考えるか。(2)患者にとって安全で安心でき、より質の高い適切な歯科医療を提供できるよう、患者像の変化や多様性も踏まえ、口腔機能の評価・管理や、口腔疾患の重症化予防や生活の質に配慮した歯科医療の提供のあり方等について、どのように考えるか。
の2点を提示している。