長野県保険医協会では毎年、県内市町村に対し、国保料や加入状況等についてアンケート調査を実施している。今年も6月に実施し9月に全市町村からの提出がまとまったため、その結果を報告する。
国保アンケート2025(8,424KB)
2025.11.14 更新(P.10マイナ保険証の利用登録状況:木曽町よりマイナ保険証利用登録件数の訂正依頼)
前年とのアンケート項目の変更点については、短期証・資格証明書に係る項目を削除した。国保法では2024年12月2日の健康保険証の新規発行停止に伴い、短期被保険者証(以下、短期証)や資格証明書が廃止されたためである。滞納世帯に対する制裁措置としては、特別な理由等がなく一年以上滞納した世帯に対する特別療養費の支給のみとなった。
滞納期間が一年未満の者に対する制裁措置がなくなったことについての一定の評価はあるが、滞納期間が一年を超えた場合に、これまで市町村ごとの判断により短期証の発行に留めるなど柔軟な対応ができていたものができなくなった。患者にとっては、短期証であれば有効期限は短いが本来の割合負担で現物給付を受けることができたが、特別療養費の支給対象とされてしまうと、保険診療を受けることはできても医療費や入院時の食事・生活療養費等が一旦10割負担となり、重い制裁を受けることとなる。
2025年1月時点における、一年以上滞納世帯に対する特別療養費の支給対象割合は2.57%であった。
昨年度(国保アンケート2024)も回答があった市町村に絞って再算出すると、2025年1月は3.3%、昨年度(特別療養費と同じ扱いの資格証明書の交付数)は1.9%であったことから、1.4ポイントの増加となった。短期証廃止の関連性を推察するほどの増加ではなかったが、今後はより増えていく懸念がある。
なお、2025年10月17日付で下記内容の厚労省事務連絡が発出され、短期証に似た取扱いが復活している。来年度実施時には同事務連絡に基づく運用についても調査したい。
国民健康保険の保険料(税)を滞納している世帯主等に対する措置に関連する取扱いについて(周知)
(略)特別療養費の支給対象である被保険者において医療を受ける必要が生じ、かつ、医療機関に対する医療費の一時払いが困難である旨の申し出が行われた場合の対応については、従前の別添の取扱いと同様であり、市町村(特別区を含む。以下同じ。)の判断により、特別療養費を支給する旨の記載のない、通常よりも有効期限の短い資格確認書を交付すること等により、特別療養費の支給に代えて療養の給付等を行うことができる(略)
2025年度市町村国保アンケート結果まとまる
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