共謀罪法案の審議差戻し、廃案を求める(理事会声明)

長野県保険医協会は、5月29日の理事会で、共謀罪の創設を含む組織犯罪処罰法改正案の審議を衆議院に差戻し、徹底審議の上廃案を求める、理事会声明を発表しました。 声明

共謀罪の創設を含む組織犯罪処罰法改正案の審議差戻し、廃案を求める

先の衆議院本会議にて組織犯罪処罰法改正案が自公維の共謀により賛成多数で可決された。わずか質疑30 時間の委員会審議で、「一般市民は本当に対象とならないのか」、「監視社会による人権侵害が起こらないか」、「捜査機関による恣意的運用はされないのか」など多くの疑問や懸念が示された。こうした不安に国民が納得のいく答弁がされないまま強行採択されたことに強く抗議する。 同法案の277 の対象犯罪にはいわゆる「テロ」とは無関係なものが多く含まれており、幅広い市民が対象となる。向精神薬取締法や医薬品医療機器等法など医療機関とも密接に関わるものも対象とされている。 また、組織的犯罪集団の判断は最終的には捜査機関が判断するもので、本会などの医療制度改善を求める運動や正当な市民運動までも対象とされる可能性は否定できない。医療情報を含めた患者さんの情報提供を求め、医療現場に警察の不当な介入が行われることも想定される。 同法案は過去3度廃案となった「共謀罪」と実質的には何ら変わらない内容を含むもので、憲法で保障された思想・良心の自由及び言論・表現の自由など国民の内心の自由を著しく侵害する危険がある。過去には治安維持法のもとで、政府は国民の思想・言論を弾圧してきたが、同じ過ちは二度と繰り返してはならない。 日弁連など法曹界からも批判の声が強く、プライバシー権に関する国連の特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏も安倍首相あての書簡で同様の懸念を表明している。 こうした声を真摯に受け止め、審議を衆議院に差し戻し、徹底審議の上、廃案とすべきである。

2017年5月29日 長野県保険医協会 理事会

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