現物給付の導入範囲は中学卒まで 検討会が方向性を打ち出す
本日、3月30日に第2回長野県福祉医療費給付事業検討会が開催され、保険医協会事務局が傍聴した。
会議事項は、前回同様にこれまでの検討経過について公開されたものの具体的な主要検討項目である現物給付の対象範囲及び受給者負担金についての議論は非公開とされた。
ただし、検討会終了後に委員長である県健康福祉部長の山本氏から傍聴者に対して、検討結果の概要が報告され、(1)現物給付の対象範囲について市町村が足並みをそろえて中学卒までとするのが適当であること、(2)環境整備を県が所用の措置を行っていくとする検討会の方向性が示された。
公開部分ではこれまでの議論の経過について事務局より以下の報告がされた。
前回の検討会の意見を踏まえて市町村への意向調査を行ったが、現物給付の導入範囲については未就学児までとする市町村が31(40.3%)、小学校卒までが2市町村(2.6%)、中学卒業までが13市町村、高校卒業までが31(40.3%)であった。その上で、「未就学児まで」又は「小学校卒業まで」と回答した33市町村に対して、県の財政支援がある場合にその範囲の拡大を検討するかといった質問に対して22市町村が拡大を検討すると回答した。拡大を検討しないとした市町村が11市町村あったが、県の説明では県で統一の方向が示されれば前向きに拡大を検討することを個別に確認済みだとした。また、意向調査では県に対して希望する財政支援の内容も聞いているが、国保減額調整措置に対する支援については県補助対象者にかかるペナルティの1/2を県が負担することを求める市町村が19と最も多かったが、県の補助対象に関わらず中学卒までの入通院にかかるペナルティの1/2の財政支援を求める市町村も13あった。一方で受給者負担金については現行維持と答えた市町村が66市町村(85.7%)と最も多かったが、受給者負担金を廃止すべきとした市町村も9あり、少子化対策や貧困対策のため完全窓口無料化をお願いしたいといったコメントも紹介された。
また、検討会の補助機関として設置された幹事会も2回開催されている。三師会幹事からは、現物給付の導入範囲や受給者負担金額が市町村によって異なると、医療機関の事務処理が煩雑となるため、制度はできるだけ揃えて欲しい。受給者負担金を廃止し、完全窓口無料化を要望する、医療機関向けの説明会を開催してほしい。といった意見が寄せられていることが報告された。
こうした、意見をふまえて非公開の議論を経て、中学卒業まで市町村が足並みをそろえて現物給付を導入することが適当とする検討会としての方向性が打ち出された。また、県が行う環境整備については、具体的には国保のペナルティに対する財政支援となると説明したが、補助の範囲については今後予算との関連として明言を避けた。また導入時期については平成30年度中とし、国が就学前までのペナルティ廃止を実施する平成30年4月実施には間に合わないことを示唆した。受給者負担金については状況変化が大きくないとして現状維持とするとした。なお、中卒までの現物給付化とする場合のペナルティの額は全県で8200万円といった数字も報告された。
なお、委員長からは今回、検討会としての大きい方向性は出したが、県としての最終的な意思決定時期については明言を避けた。
すすめる会の傍聴者から、市町村で足並みをそろえるとしているが、例えば市町村が独自の判断で高校卒業まで現物給付化するとした場合でも、制度として県がそれにストップをかけることはないことも確認した。
第2回検討会資料