新型コロナウイルス感染症の影響で県内医療機関の経営悪化が深刻
県保険医協会が5月に実施した会員調査により、医療機関の経営悪化が深刻である状況が明らかになった。調査は5月7日~14日に全国保険医他団体連合会の全国調査に協力して行い、医科187件、歯科80件から回答が寄せられた。4月の対前年同月比で外来患者数は医科では86.1%、歯科では92.5%の医療機関が減少したと回答、減少割合が3割を超えたとする回答は医科、歯科ともに2割を超えた。保険診療収入も医科、歯科ともに8割を超える医療機関が減収と回答、3割を超える減収と回答したのは医科で25.4%、歯科では27.2%。5割を超える減収と回答したのは医科では4.3%、歯科では6.1%であった。マスク等の個人防護具や衛生用品等の確保状況では、充足しているとの回答はほとんどの項目で5割に満たず、マスクやフェイスシールドは業者からの供給がないため再利用や自院で製作しているとの回答も散見された。特に防護服(ガウン)は医科では充足率は1割に満たない状況である。PCR検査については、検査を依頼したが拒否された経験があるとの回答が6割を超え、保健所の対応への不満も目立つ。風評被害の経験は医科の9.1%に対して歯科は25%と目立つ。長野県でもSNSを中心にフェイクニュースが流布していること、歯科では、テレビ等の報道を通じて「歯科はあぶない」といった誤った認識が国民に伝わっていることを問題視する声が目立った。行政等への要望としては、収入減の損失補填、人件費の補償を求める声が多い。その他、医療物資の補給や新たな設備への補助を求める声がある。
長野県保険医協会では今回の調査結果をもとに、(1)医療機関の収入減の補填と診療機能強化等の設備投資への補助、(2)防護具の確保と安定供給および相談窓口設置、(3)PCR検査体制の強化、(4)国民に適切な受診の広報、(5)経済的理由で受診が困難な患者の一部負担金減免、(6)初再診料等の診療報酬の一時的な特例措置をもとめる要望書を、内閣総理大臣等に送付した。
新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する緊急アンケート結果(長野県)
新型コロナウイルス感染症対策に関する緊急要望