政府は2025年度予算案で、高額療養費の自己負担上限を段階的に引き上げる方針を示しました。特に、70歳未満の現役世代では年収650万~770万円の層で負担が1.7倍に増加し、月6万円近い負担増となります。
物価高騰のなか、患者へのさらなる負担増は治療の継続を困難にします。保団連が子どもを持つがん患者を対象に行なった調査では、がん患者の半数以上が収入減少に直面し、治療費が家計を圧迫。さらに、5割が「治療を中断せざるを得ない」、6割が「治療回数を減らす」と回答しており、子どもの進路変更を余儀なくされる家庭も5割にのぼります。
今回、石破首相は「年4回以上の利用者の負担増を凍結」と表明しましたが、これは一部の患者のみの措置で、多くの患者が対象外です。治療の副作用で休薬すると「多数回」に該当しない問題もあり、不公平を生む恐れがあります。
長野県保険医協会は、すべての国民が経済的な不安なく医療を受けられる権利を守るため、高額療養費の自己負担上限引き上げの撤回を強く求め、理事会声明を発表しました。
【理事会声明】高額療養費負担上限引き上げに断固反対する
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