一体改革関連法案成立に抗議声明
内閣提出の消費税増税など含む7つの一体改革関連法案、3党合意の自公民衆議院議員提出の「社会保障制度改革推進法案」は、先の衆議院に続き8月10日参議院で可決成立した。県保険医協会では翌11日、これに抗議の声明を発表した。
協会では「一体改革」関連法案が出された当初より、「一体改革」の危険な中身の撤回などを求めて同法案に反対する趣旨の「安心して受けられる医療の実現を求める請願署名」を続け、これを国会行動で提出。また2度にわたりポイントを絞った会員署名を実施し、「私の一言」もある会員の声を政府機関、県選出国会議員に届けながら運動をしてきた。法案が参議院入りしてからは8月2日
の国会行動で「一体改革関連法案及び社会保障制度改革推進法の廃案を求める要請書」で「私の一言」を含む会員の声を届けたのをはじめ、鈴木会長、市川副会長(保団連理事)が議員会館内で保団連が開いた「異議あり!消費税増税・改革推進法案 緊急院内集会」に参加。鈴木会長は篠原孝議員も参加の民主党議員による消費税研究会(保団連の寺尾事務局次長講師)の一般公開部分にも参加してきていた。
抗議声明
消費税増税法案、「社会保障制度改革推進法案」など
一体改革関連法案の成立に抗議する
昨日8月10日、消費税増税法案や社会保障制度改革推進法案を含む「一体改革」関連法案が参議院本会議で可決された。
消費税増税は明らかな政権公約違反であり、大手マスコミの世論調査でも反対する国民の声は過半数を超えている。デフレ下での消費税増税は国民生活や日本経済に深刻な影響を及ぼすことは必至である。患者さんはますます医療にかかりにくくなり、医療機関における「損税」は更に拡大し経営に重大な影響を及ぼし、ひいては地域医療確保をも困難にする。更には国会審議を通じて、消費税増税が社会保障拡充とは無縁の大型公共投資の財源に充てられることも明らかとなるなど、もはや社会保障・財政再建のためという政府の大儀名分は完全に破綻し、その本質が財界の要望に沿った増税案であることも露呈した。
また、「社会保障制度改革推進法案」は社会保障制度改革の基本理念を定める法であるが、「自助、共助の原則」、「受益に応じた負担」、「給付と負担の均衡」といったいわば民間保険の原理を基本方針とし、保険給付を縮小することを示唆する「療養の給付の範囲の適正化」まで法律に明記している。その一方で、国民皆保険を堅持しようとする文言のかけらも見当たらない。
「一体改革」関連法案は患者、国民に新たな負担と犠牲を強い、社会保障における国の責任と負担を大きく後退させ、生存権保障としての社会保障制度の解体へと踏み出すものである。これら法案の成立により、社会保障を口実とした際限のない消費税率引き上げや受益者負担を大義名分に受診時定額負担など患者窓口負担増や、混合診療の拡大など国民皆保険制度が形骸化することは必至である。
長野県保険医協会は今回の民主、自民、公明の密室談合による「一体改革」関連法案の成立に断固抗議すると共に、国民の生活と医療を守るためにこれら法案の廃止・凍結を求め、憲法25条に基づく真の社会保障充実と強化を求めるために全力を尽くす決意である。
2012年8月11日
長野県保険医協会
会長 鈴木 信光