東京高裁で無罪を!介護の未来を守るシンポジウムを開催
安曇野市の特別養護老人ホーム「あずみの里」で入所者の女性がおやつのドーナツを
食べた後に死亡した事故で、准看護師が業務上過失致死に問われた裁判で、長野地方裁判所松本支部は3月に罰金20 万円の有罪判決を下した。
被告と弁護団は即日控訴しているが、東京高裁での控訴審を前に8 月18 日にあずみのスイス村サンモリッツにて「介護の未来を守るシンポジウム」が開催され、県内外から350 人が参加した。
シンポジストは、木嶋日出夫氏(あずみの里裁判弁護団長)、片倉和彦氏(医師・東京保険医
協会・西多摩支部長)、江森けさ子氏(看護師・訪問看護ステーション所長)、大輪広美氏(松本医療福祉専門学校・介護福祉学科学科長)の4人で、それぞれの立場から事件の経緯や一審判決での疑問点、この裁判が医療・介護業界に与える影響などを説明した。
木嶋氏は、地裁での経過と今後の争点を説明、一審判決について「弁護側の科学的な主張を無視した理屈の通らない判決」と批判した。
特養の配置医師でもある東京保険医協会の片倉氏は、食事中に利用者が亡くなることは多いが、施設での死因として窒息の割合は低いことなどを説明したうえで、特養では色々なことがありそれを個人責任や刑事責任にすると、今の不十分な老人介護や老人医療が更に崩壊してしまうと主張した。
大輪氏は、特養は病院と違って生活の場であることを強調し、今回の判決で介護現場に委縮が広がることに懸念を表明した。
フロア発言も活発に行われ、まとめとして木嶋弁護団長は「介護の未来がかかった裁判。無罪を勝ち取らなければならない」と強調した。
弁護団は8月30 日に控訴趣意書を東京高裁に提出するが、無罪を勝ち取る会でも同日に
裁判長に向けた署名の第一弾を届ける予定。