年末に向け、患者負担増計画の具体案の審議がすすむ

政府の全世代型社会保障検討会議は昨年末の中間報告で、(1)一定以上の所得がある後期高齢者の医療費窓口負担2割化、(2)大病院受診時定額負担の義務化対象を200床以上の一般病院に拡大―などを提言しました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で最終報告のとりまとめは延期されていましたが、年末に向けて審議会等での議論が加速しています。
高齢者2割負担で5案を提示、最大で605万人が対象に
11月19日の社会保障審議会・医療保険部会では、後期高齢者の窓口2割負担について所得の上位20~44%間で5つの案が提示された(下表参照)。現在、約7%を占める3割負担の130万人に加えて、最大で605万人が新たに2割負担の対象となる。この場合の所得基準は「本人に住民税の負担能力が認められる水準」として、単身世帯の場合、年金収入のみで年収155万円以上が該当することが示された。なお、配慮措置として外来受診については月の負担増を最大4500円とする方針を示したが、あくまで2年間の激変緩和措置である。コロナ禍を踏まえて検討を凍結すべきなどの反対意見が医療者や知事会の委員から上がっている。
200床以上の対象病院は医療資源重点外来に限定 徴収額を2000円以上増やし、保険給付から控除する方式も打ち出す
紹介状なしの病院への受診時定額負担では、一般病床数200床以上の一般病院のうち、「医療資源を重点的に活用する外来」(医療資源重点外来(仮称))を徴収義務の対象病院とすることが提案された。現在対象となっている200床以上の特定機能病院及び地域医療支援病院は合計で666病院だが、200床以上の一般病院すべてを対象とすると約2倍の1354病院となる。しかし、今回はそこまで拡大する提案とはならなかった。この「医療資源重点外来(仮称)」とは、①医療資源を重点的に活用する入院の前後の外来、②高額等の医療機器・設備を必要とする外来、③特定の領域に特化した機能を有する外来(紹介患者に対する外来等)などの機能をもつ病院とされ、外来機能報告制度を創設した上で、地域の協議の場で確認するとされている。 また、定額負担の金額を増やした上で、保険給付からは控除するといった新たな仕組みが提案された。例えば、下図のように紹介率が低い病院の初診料214点(2140円)の場合、2,000円以上を定額負担増額分として加算するが、初診料は2000円を控除して140円とする。患者は初診料の一部負担額は安くなるが、定額負担として従来の定額負担5000円に増額分の2000円以上が加算された金額等が徴収される。病院は現行通り患者の定額負担分が増額となるが、保険収入がマイナスとなる仕組みで医療保険からの支出が減るというものだ。 ただし、こうした方式は給付率の切り下げであり、特に医療側の委員からは反対の声が相次いでいる。今後医療費抑制の方法としてこうした手段が多用されることも懸念される。    
患者負担増中止を求める署名へご協力を呼びかけます
長野県保険医協会では、現在、「ストップ!患者負担増」をスローガンに、こうした政府の計画の中止を求めて署名活動を行っています。10月から開始したクイズキャンペーンに寄せられた患者さんの声でも、「年金生活者で2割負担となると医療機関に受診できない」といった切実な声が寄せられています。また、与党内でも、「コロナ禍の今、必要な議論か」との先送りの意見も続出しています。会員の先生方、患者の皆様には署名への更なるご協力をお願いいたします。

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